「夏期限定トロピカルパフェ事件」

 「夏期限定トロピカルパフェ事件」を読み終わった。期待を裏切るよい結末だった。大まかな内容は読みどおり進み、謎解きという面では期待以上のものは無かったけど。巻末の「解説」にあったとおり、秋、冬に向けて起承転結の「承」の役割を十分に果たしている、というか続編を期待させる結末だと思う。これで続巻が出なかったら、読者は怒るんじゃないかな。
 アマゾンのカスタマーレビューには結末がぞっとするとか怖いとか書いてあるものもあるけど、「小市民」を目指しながら自分の本性を隠しきれない主人公を書いているわけだから、豹変するのは当然。私自身としてはあの程度の豹変ではまだ物足りないぐらい。というか、豹変する時の表現がもうちょっと複雑だったりバリエーションがあっても良かったのかな、と思う。あんまり効果的だと二重人格っぽくなっちゃってサイコ小説になってしまうのだろうけど。
 もうひとつ、ネタばれに近くなっちゃうんだけど、「スイーツセレクション」に対して違和感を覚えた主人公が推理をしようとしなかった事がやや不自然に思った。いろいろと理由は付けているけれど、結局のところ謎解きが好きな主人公が、あれこれ考えないわけが無い、と思うんだけど。前作の「春期限定いちごタルト事件」でも、同じなのだけれど、最後に謎解きをするために主人公の思考をわざと表現しないという手法はいいのだけれど、最後の謎解きの段階で一生懸命考えるというのは読んでいるほうとしては辛い。なぜなら、私は読みながら考えているので、結末を読む段階であれやこれやと思考されるとじれったい。
 まあこれはキャラクタ設定というか、話の作り方の問題だから、作品を受け入れるしかないと思うんだけど。
 最後に、春から夏の間にストーリー上は一年経っている。夏から秋の間に仮に一年経ってしまうと、冬は卒業後の話になる。均等割する必要は無いんだけど。
 話の流れからすると、そのぐらいの期間をストーリーの中に作ってあげないと面白くないかなとも思わないことも無い。学園もの的なストーリーを崩さずに行くのであれば、中学のエピソードを結である冬に持っていき、大団円にするのもありかもと思った。
 最終的なエンディングは「ローマの休日」っぽいのがいいな、と勝手な妄想をしてみる。

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