「クトゥルー怪異録」を読み終わった。ほどほどに面白かった。6つある話のうち「蔭洲升を覆う影」は何処かで読んだような記憶があるが、何処だったかはっきりしない。ドラマにもなったらしいのでそこで見たのかもしれない。この本の購入動機ははっきりしていて、私は菊池秀行の「妖神グルメ
」が大好きだったので、菊池秀行とクトゥルーの取り合わせを見て衝動買いしたのだった。
六つのクトゥルー神話に関する話はそれぞれ味があって面白い。どうしても日本人が書くとちまちました話になりがちだが、それを大胆にも覆そうとしている。六人の作家の短編集なので、趣味が合わない作品もあるかもしれないが、短編なのでそういった作品はさらりと読んでもいいかもしれない。
私が気に入った作品は「地の底の哄笑」友成純一著だとおもう。前ふりの解説で「もしも夢野久作がクトゥルー神話を書いたなら、かくや」と書かれている。惜しいのは短編であるということと、もう一押し欲しかったということだ。最後に主人公のカルテとか、病状で締めくくって欲しかった。
期待した菊池秀行氏の作品は「出づるもの」というタイトルで彼の作品らしさが存分に出ているが、やはり短編には向かない内容で長編の一部を切り取った作品といった出来になっていると思う。中長編にこそ真価を発揮する作家なのかなと感じた。
和風クトゥルー神話を読み始めようとする人には特にお勧めの作品集だ。
「クトゥルー怪異録」
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