「ガニメデの優しい巨人」

 「ガニメデの優しい巨人」を読み終わった。以前紹介した「星を継ぐもの」(http://shonenalice.seesaa.net/article/21146262.html)の続編である。内容的には「星を継ぐもの」の直後から話が始まっており、つづけて読むのが正しい読み方なのかもしれない。私は間を置いてしまったので、前作を読み返したい衝動を何度か味わった。
 ストーリーは王道を行き、ラストは相変わらず想像通りで推理モノとしての謎は浅いが、十分納得できる内容だった。
 前作で不満だった「言語」に関して、今回は完全に別の進化系統の異性人なので気にならなかったが、それはルナリアンとガニメディアンとの文化的交流の部分が非常にあいまいに扱われていたからだ。自分が日本人であるが故だからかもしれないが、言語文化というのは非常に外部的な影響を受けやすいと思っている。例えば古代ギリシア語、ラテン語の影響を受けるヨーロッパの各言語や、中国語の影響を受けた日本語の「漢字」、各種言語の影響を受けた日本語の「外来語」、現在も影響を受け続けている日本語表記の中のアルファベットや各種特殊外国語。
 しかし、ルナリアンとガニメディアンをつなぐ言語的な部分として「巨人」と言う単語しか出てこない。ストーリーの運び方から言って、もっと言語的に影響を色濃く残してしかるべきだと思うし、それを論拠のひとつとしてあげてもかまわないと思う。
 更に続編で完結編の「巨人たちの星」もできるだけ早く読みたいと思う。アマゾンのカスタマーレビューを読む限りでは、作者は科学的発想から展開したSF小説の科学の部分を放棄しているようだ。だとしたら、もう少し早い段階で放棄しちゃっても良かったんじゃないかと思う。SFは現在の科学の延長であっても「想像科学」が許される読み物なのだから、いかにもな理論展開だけしておいて、ストーリーはさっさと進めてしまったほうが、すっきりしていて良かったのかもしれない。主人公も登場人物も科学者であるところがネックなんだと思うんだけど。


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