読書、感想、短編、複数作家、ホラー:「七つの怖い扉」

 「七つの怖い扉」を読み終わった。同時に購入した「七つの黒い夢(http://shonenalice.seesaa.net/article/37617880.html)」「七つの危険な真実(http://shonenalice.seesaa.net/article/37815928.html)」も面白かったが、この本もなかなか面白かった。出版した時期もあるのだろうが、作家陣が豪華で驚いてしまった。阿刀田高、小池真理子、鈴木光司、高橋克彦、乃南アサ、夢枕獏、宮部みゆき、の七人である。作品を読んだ(もしくは読んだ覚えのある)作家ばかりではないものの、知らない作家がいなかった。
 読んでいて違和感があり全てを読み終えてから納得したのだが、この作品集の中の幾つかの作品は、この作品集が出版された後に他の本に収録されてしまった。そのどれもが読んだ記憶がある作品だったのが残念だと思う。どうでもいい事なのかもしれないが、そういう事ははじめの方に書いておいていただきたかった。ずいぶん昔に読んだ作品のはずなんだけど、しっかりと覚えていました。
 「迷路」阿刀田高著。「花あらし」に収録。この作品がこの本の最初の作品で、なおかつ「どこかで読んだ記憶がある」というものだったので、私はこの「七つの怖い扉」という短編集を実は購入済みなのではないかと考えてしまいました。また二重に買ってしまった、という驚きを見せたのはやはり「怖い」に入るのでしょうか。井戸と少年を巡る話で、結末のどんでん返しは知っていても驚かされました。作者の鋭い切れ味が美しい作品です。
 「布団部屋」宮部みゆき著。「あやし」に収録。私が好きな宮部みゆき時代もの作品ですが、惜しいのは読んだ事がある作品だという事。短い中で奇想天外な話をみごとに構築しているが、作品が特徴的なだけに、忘れられない作品の一つとしてしっかり覚えていたので驚きが少なく淡々と読んでしまった。内容は奉公人である主人公が奉公先のお店での出来事を描いている。初めて読んだ時は相当面白かった。
 「母の死んだ家」高橋克彦著。作家である主人公が遠方の講演会から急いで帰ると車で道に迷ってしまう、という話。不気味な雰囲気が作品を盛り上げるのだが、最後のどんでん返しに詰め込みすぎたのかやや不透明でわかりにくい結末になっている。短編集であってもやはり伏線は欲しいところ。
 「夕がすみ」乃南アサ著。この作家の作品を読んだ記憶が無い。名前だけはどこかで聞いた事があるが、作家の紹介文に列挙された作品に見覚えは無かったので、多分読んでいないのだろうと思う。作品自体はしっかりまとまっていたし、読みやすかったし、内容も良かった、と思う。しかし、何と言うか、インパクトの薄い作品だった。内容は主人公の家族が一人増えるという話です。妹が増えるというので喜んでいた主人公ですが・・・。
 「空に浮かぶ棺」鈴木光司著。有名な「リング」「らせん」「ループ」の外伝「バースディー」に収録された作品。確か読んでる、はず。なので内容は伏せます。完結した作品として読むと、いまいち不完全燃焼しそうな感じがします。不完全燃焼をしたら、是非前後の話である「リング」「らせん」を読んでください。
 「安義橋の鬼、人を?らふ語」夢枕獏著。時代物といっても平安時代あたりの話で作者が得意な陰陽師に関する話です。鬼が出ると言われた橋に、嫌われ者な男がのせられて肝試しをする話です。どんでん返しが美しく決まっている作品だと私は思います。
 「康平の背中」小池真理子著。結末のどんでん返しはいちばん違和感があった。少女漫画のホラーを見ているような気分にさせられた。ストーリーにインパクトが無いが、結末は何かくるものがある。

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