「物語の体操―みるみる小説が書ける6つのレッスン」

 「物語の体操―みるみる小説が書ける6つのレッスン」を読み終わった。ためになるかどうかは別として、あっさりと読めて楽しかった。この本に関しては、アマゾンのカスタマーレビューはどこか的外れな内容が多い気がしました。というか、本を一冊読んで小説が書けるようになるなんて、そんなお手軽すぎでうまい話なんてあるわけないです。しかし、現代のマニュアル社会では、そんな事も期待してしまうのでしょうか(苦笑。
 とりあえず、一番印象に残ったのは、小説を書きたい人を増やして何になるのかという話です。先日読んだ「ミステリーの書き方(http://shonenalice.seesaa.net/article/22342577.html)」の冒頭にも「ライバルを増やすようなことをやるのはばかばかしい」というような趣旨の話がありました。「ミステリーの書き方」ではこの問いは軽く流されていますが、こちらの「物語の体操」では、より深く(それこそ私小説的に)、掘り下げて書かれています。
 この本を読んでいて、書かれていない理由として、この作者が小説だけが生活の糧ではないからこそ、こういった本も出せたのではないかと思わずに入られませんでした。深読みかもしれませんが。
 この本を手にとって最大限価値のある人は、物語を意識的に作れない人、または、自分の作った物語に多少なりとも不満がある人が、まず大いに役に立つように思いました。
 もうひとつは、小説を書いたことがない人が、書くきっかけを作るのに役立つのではないかとも感じました。書籍の中で小説を書き写すことをさらりと否定していますが、小説を書くきっかけを作るには大いにありうる方法論だと思っていますし、その同レベルにおいて、この本に書かれている課題をこなすことが、ひとつのステップになるのではないでしょうか。
 この本の末尾に、訓練することの重要性がしきりに言われています。小説を書くための才能ではなく、技術を習得することが重要だと書かれています。ただ、この方法だけが小説家になる唯一の訓練だとは思えない部分もあります。スポーツの訓練も日進月歩するし、個性に対応した方法論があるように、この本を読んで自分なりの方法論を編み出していくぐらいでないと、小説家の道は遠いのではないでしょうか。
 小説家はひとつの小説を書いただけでは終わらないのですから。


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