読書、感想、ミステリー、短編、七つ:「七つの危険な真実」

 「七つの危険な真実」を読み終わりました。内容は7人のミステリー作家による短編集となっていて、全部で300ページあったので、一人あたり42.8ページ程度の作品集です。特にモチーフというのは無いようですが、舞台は現代でした。短さを感じさせない面白さがありました。どの話も個性的で、それぞれに楽しめました。読んだ事の無い作家の作品のお試しとしても良いのではないでしょうか。
 「透き通った一日」赤川次郎著。赤川次郎得意の女子高校生モノです。赤川次郎が女子高校生を書くと、「学園モノ」って感じがしないのは、たぶん、学校という入れ物の外からも要素を引っ張り込んでくるから、なんだろうなぁ、と思いました。
 「マッチ箱の人生」阿刀田高著。阿刀田氏得意のバーでの会話型短編集です。こんなときの主人公はだいたいサラリーマンなのですが、普通のサリーマンにしては結構物知りだったりして、実は作者自身がモデルなのかもしれない。ストーリーはバーでマッチ箱の違和感から推理していくという話です。
 「返事はいらない」宮部みゆき著。時代物を期待してたんですけど違いました。老夫婦と主人公の銀行犯罪ものでした。どんでん返しはありがちででしたが、さわやかでした。
 「福の神」乃南アサ著。居酒屋での一コマ。ストーリーは読み始めれば読めてくる簡単なものなのですが、人生ドラマというか人間関係というか、そういうところが中心の話でした。
 「過去からの声」連城三紀彦著。刑事モノで誘拐推理でした。形式は手紙の形をとってます。私は初めて読んだ作家でした。
 「襲われて」夏樹静子著。通り魔推理の話でした。女性の主人公が襲われた犯人を捜す話でした。
 「眠れる森」北村薫著。舞台は現代なのだが、舞台装置のこともあって何だかファンタジーのようでした。作者にけむに巻かれたような(笑)ストーリー展開でした。七つの作品の中でいちばん好きな作品です。
 巻末には赤川次郎氏との対談による「アムネスティー(http://www.amnesty.or.jp/)」という人権団体の紹介が載っていました。

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